近年の中国の成長はすさまじいものがあるね。
ほんの10年前までは「中国製」は安かろう悪かろうと言ってた時代が信じられないよ。
中国の町並みもいつのまにか日本をはるかに追い越してしまったね。
春節なんかは数千台のドローンを使って、日本じゃ考えられないパフォーマンスもするんだ。
おいおい、こんなにテクノロジーが発達してるのかよ。
こんなのテレビで見たことなかったぞ。
じゃあ今回は、中国の「監視社会」と「信用スコア」について紹介していこうか。
この記事の目次
【芝麻信用】ジーマ信用とは?
中国の「監視社会」!
響きを聞くと恐ろしいよね。
近年、中国社会では、急速に「IT」が普及し、生活インフラのインターネット化によって膨大な「個人情報」を集めているよ。
それらを利用し「信用スコア」にして、中国社会を統治しようとしているんだ。
地方政府は、行政機関を通じて、入手した個人情報を統合して、個人個人を「格付け」する社会システムを構築してるんだ。
またアリババ傘下の「アントフィナンシャル」が運営する「ジーマ信用(セサミクレジット)」など民間企業が信用スコアを出しているよ。
ビッグデータを集め、それを「AI」で解析して個人個人を数値化しているんだね。
ジーマ信用は、2015年に中国でスタートしたよ。
個人の信用情報を数値化して、数値が高いとさまざまな面で、恩恵を受けることができるんだ。
例えばクレジットカードを作ったり、銀行からお金を借り入れする時は、通常審査があるよね。
信用情報が高い人は、そういった審査が通りやすくなるよ。
クレジットカード会社も今まで独自の信用情報によって、個人の審査をしていたけど、これからの「信用スコア」はもっとすごいんだ。
5つの項目で個人を格付けする
- ① 個人情報:年齢、学歴、職歴
- ② 資産:預金、株式、車、住宅などの資産情報
- ③ 信用歴史:ローン、公共料金のクレジット情報、返済履歴情報
- ④ 人脈関係:SNSなどの人脈
- ⑤ 趣味嗜好:普段の買い物、趣味趣向
具体的には上記項目を元にグラフ化、数値化して信用スコアにするよ。
それぞれ簡単に説明していくね。
①個人情報
その人自身の個人情報をベースとしているよ。
年齢や学歴、そしてどんな会社で仕事をしているかってことだね。
②資産
銀行にどれだけ預金があって、車を所有しているのか。
株式の保有数や住宅を所有しているかなど見られるんだ。
③信用履歴
クレジットカードの支払い履歴や、返済履歴などの情報だね。
ローンを組んでも、支払いが滞ることなく、ちゃんと決められた通り支払うことができているのかってことを見られるんだね。
いくら稼ぎが良くても浪費家で支払いが滞ってたら、信用は落ちるよ。
④人脈
SNSなどを通じてどんな人と繋がっているのか。
またどんな発信をしているのか、見られるんだ。
これはあとで解説するね。
⑤趣味嗜好
普段、どんな買い物をしているかだね。
ネットショップでの買い物履歴や、日常での買い物を見られるよ。
変な趣味の物は買いづらくなるね。
とこんな感じのチェック項目になるね。
今までのクレジットカード審査は、買い物履歴や返済が遅れたとかが関係していたと思う。
でも、人脈とか何を買い物してるとかまでチェックされるのか。
そしてジーマ信用は、こんな感じでランク付けされるよ。
一般的には「350~950」で数値化されるんだ。
個人を点数化
- 劣る:350〜549
- 普通:550〜599
- 良好:600〜699
- 優秀:650〜699
- 最優秀:700〜950
数値によって5段階で評価されるよ。
700点以上あれば、「最優秀」とされているよ。
信用スコアが高いと得られるメリット
この数値が高いと、例えばレンタカーを借りるときの保証金が不要になったり、融資を受けるときに、お金を借りるときに借りやすくなったり、さらに金利も安くなったりするんだ。
また海外のビザが取りやすかったり、空港で専用レーンを通れるようになったりするんだよ。
さらに信用スコアが高い人だけが使える「婚活サイト」や「転職サイト」の利用できるようになったりと生活の重要な場面で大いに役立つんだ。
「婚活サイト」ってことは、信用スコアは政府だけじゃなく、民間企業も活用するんだね。
信用スコアが低いとどうなる?
反対に信用スコアが低いと、お金を借りにくなったり、就職や転職、引っ越しや結婚などあらゆる場面で不利になりやすくなるんだ。
お金持ちはますますお金持ちに。
貧乏人はますます貧乏になりやすくなるから、格差が広がりそうだよね。
生まれた環境が最初から悪い場合はかわいそうだけど、その人自身が自堕落で返済を怠ったり、社会のルールを破ることで信用を失ってしまい、それが自分に返ってくるのは仕方がないよね。
ただジーマ信用をどうしたらあがるのかを自然と意識して行動するようになるんだ。
信用スコアのメリットとデメリット
信用スコアのメリットとデメリットを紹介するね。
メリットのひとつは、社会全体の治安がよくなることなんだ。
「信用スコア」が数値化されることで、それぞれスコアをあげようと頑張るよね。
人間、数値化されると、高い点数を取ろうと頑張る側面はあるよね。
筋トレとか、どれだけ重い数字を持ち上げられるのか、頑張っちゃうもんね。
次に、審査の手間やコストを省けることだね。
カードの審査や住宅ローン、融資など信用スコアが高いとそれだけで信用に値することがわかるからね。
デメリット①|個人情報流出時の影響が大きい
デメリットはあるのか?
「信用スコア」は、超大切な個人情報になるから、情報流出したときの損害は今までとは異なるほど大きな被害になる可能性があることだね。
デメリット②|国や企業がいいように信用スコアを利用
ふたつめのデメリットとして、国や企業がいいように利用してしまうことだね。
信用スコアを握っているのは、国や大手IT企業になるよね。
だから信用スコアを上げるためのロジックに、国や企業にとってメリットとなることを入れ込まれたりすることだね。
なるほどな。そういったロジックって普通に気づかれないレベルで、
巧妙に仕組まれそうだもんな。
デメリット③|新たな差別を生む可能性
三つ目のデメリットとして、新しい「差別」が生まれることが懸念されるよ。
これまでの肌の色や民族の違いによる差別と違って、信用スコアは国や企業が
数値化してるから、ある意味、合理的に差別されそうなんだぜ。
そうだね。信用スコアが社会に根付いたら、
そんな差別も生まれそうだよね。
【監視社会】意外な個人情報の収集方法
でも具体的に、どうやって個人の情報を集めてるんだ?
それにはいろんな方法があるよ。
キャッシュレス決済の普及による情報収集
特に大きいのは、今中国ではキャッシュレス決済の浸透が背景に挙げられるんだ。
中国では、ネットでの買い物だけでなく、家賃、公共料金、日用品の買い出し、はては屋台の買い物まですべて「キャッシュレス」での支払いなんだ。
中国では、偽札も多いから現金よりもキャッシュレスの方が信じられてるってやつだね。
「キャッシュレス決済」ということは、アプリ上に普段から何にお金を使っているのかわかるよね。
そして支払い能力も返済する能力も、普段の買い物の嗜好性なんかもわかってしまうんだ。
その人が何にお金を使ってるかわかるってことは、その人自身を知る上でとても大切なんだ。
中国は2015年に信用スコアのシステムラインセスを8社に与えているよ。
そのうちの一社が一番有名な「ジーマ信用」ってやつだね。
ジーマ信用は、中国の大手アリババの傘下
「アリババ」が運営をする「アント フィナンシャル」が使われてるよ。
アリババと言えば、中国版「Amazon」だよ。
日常の支払いによる「信用スコア」がビッグデータとして集積してるんだ。
超監視社会が町全体のマナーを大きく改善した
でもこの信用スコアの概念が中国に普及し始めてから、中国のマナーは格段によくなったんだよ。
中国では、自転車のシェアリングサービスが進んでいるよ。
一昔前の中国はすごい自転車の大群だったよね。
シェアリングサービスがスタートした当初は、道路に自転車が無法に乗り捨てられていたんだ。
これはひどすぎるな。
でも現在は、信用スコアと結びついてるから、マナーを守ってきちんと所定の位置に戻す人たちが増えたんだよ。
誰だってそんな些細なことで、自分の信用スコアを下げたくないからね。
数値として表れることで、ちゃんとルールやマナーが守れるようになることはいいことなんだよね。
個人のSNSは監視されている?
「人脈」は、SNSで見ることができるよ。
中国で主流なSNSといえば、「WeChat」や「Tiktok」なんかだよね。
そこでどんな人と繋がっているのか。
社会的地位がある人と繋がっているのか、犯罪を犯した人と繋がっているのか。
SNSなら繋がりが一発でわかるもんな。
また普段どんな発信をしているのかも重要になってくるよ。
誹謗中傷を繰り返したりとかで、どんな人柄かわかるよね。
日本でもSNSを使って、匿名で好き勝手に罵詈雑言を浴びせる人も多いから、これを解決する手段のひとつになりえるかもね。
日本もいいところは取り入れてほしいね。
また発言や行動などでその人の「思想」もわかるんだ。
中国ではないけど、最近あったアメリカの選挙でも元大統領を過激に支持した人間を監視するように、ヒラリーが大手IT企業に依頼したらしいんだよ。
これからはSNSも監視の対象になることは充分に考えられるから、過激な発言や思想は下手に発信はしない方がいいかもね。
中国政府に仇をなしそうな発言をした人間はマークされそうで怖いな。
確かにね。
最近、中国に限らずSNS上で「言論統制」のような動きも出てきてるからね。
個人にとっては、いい面にも悪い面にも働きそうだよね。
【天網】町中に張り巡らされた監視カメラで事故も激減
近年、中国では交通事故や交通違反、窃盗やスリなどが激減しているよ。
中国の町にはたくさんの監視カメラが設置されていて、その「顔認識システム」によって本人特定できるんだ。
すごいハイテクだな。
中国では、悪質な交通違反をした人は、町の交差点にある大きなスクリーンに顔と名前を映して公表とかもしてるんだよ。
日本だったら大問題になりそうだけど、秩序を乱すと容赦ないのは流石だよね。
南京市は2018年から町の交差点に、歩行者保護を徹底するための監視カメラを設置したんだ。
歩行者の横断を邪魔したり、危険な運転をすると感知して、自動的に撮影してくれるんだね。
そして交通違反の通知や罰金の納付命令を下す仕組みができてるんだ。
監視カメラで自動判別してるから、警察が見てないからといって交通ルールを破ることは許されないよ。
日本だと警察が立って、直接違反を取り締まってるけど、時代遅れってことだな。
これなら「あおり運転」なんかも撲滅しそうだな。
ドローンで空から環視もありえる
他にも中国では、空を飛ぶカメラ「ドローン」もすごく発達してるから街中だけじゃなく空から監視されることもありえるね。
車で逃げる犯人なんかも、地上の監視カメラと空からドローンで追跡されれば、逃げ道はないよね。
まとめ
というわけで、中国の監視社会と信用スコアについて紹介させてもらったよ。
ITとテクノロジーの発達で、個々人の信用もデータ化されていることがよくわかったよね。
「監視社会」と聞くと嫌なイメージしかなかったけど、いろんなメリットもあることはわかったよね。
でも、地上でも、ネットでも監視されて、本当に自由があるかは疑問も多いんだぜ。
そうだね。
日本も多かれ少なかれ、個人の信用というのは「数値化」される未来はやってくると思う。
さすがに中国ほど、びっしりしたことは国の文化の違いでできないとは思うけどね。
監視社会は上手に働けば、現実やネットの治安をよくすることには貢献できると思う。
ただ管理する国や企業がうまくバランスを取ってくれることを願うばかりだね。
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