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全国の消防現場に増えているドローン導入。元消防職員の立場で考えてみた。【活用法】

全国の消防現場に増えているドローン導入。元消防職員の立場で考えてみた。【活用法】
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東京消防庁でドローンを活用した水難救助訓練を実施

2016年10月12日、東京消防庁でドローンを活用した水難救助の訓練が公開されました。

海などで溺れている人に対して、ドローンが出動。

ドローンには浮き輪が付けられており、人の熱を自動で探知すると、浮き輪を投入する仕組み。

浮き輪にはGPSが積載されており、正確な位置が消防救助隊に知らされる。

そこから救助隊により、迅速に救助活動が行われるといった流れになります。

また東京消防庁では、東京オリンピックに向けても積極的にドローン導入を進めていく方向性とのこと。

ドローン✖消防で新しい戦術が生まれるか?

全国の消防現場に増えているドローン導入。元消防職員の立場で考えてみた。【活用法】

見ている限りまだまだ実戦の現場で使うには程遠いレベルな気がしますが、こうしてドローンが消防の現場にも入っていくことはとても良いことです。

私自身がもともと消防士をしておりましたので、よくわかりますが、消防の現場は本当に危険な現場が多いです。

そのため、ドローンを有効に活用することで、人が行けないような危険な場所への潜入や、大規模災害時に被害状況を迅速に確認する上でドローンは非常に効果的です。

千葉市消防本部で県内初のドローンが導入される

ドローンには災害時にも使用できるようにカメラやガス検知器を備えているとのこと。

全長1m40cmとかなり大型で一機約250万円ほどするとのこと。

総務省が災害に特化したドローンを購入し、それを千葉市の消防本部に貸与したとのこと。

これまでphantomなど市販のドローンを導入したところはあっても本格的な業務用の導入は今回が初めてだそうです。

熊本などの地震でもあったように救助現場では現場での情報収集がとても大切になりますので、孤立地域の状況を把握するのに有効活用が期待されています。

全国の消防現場に増えつつあるドローンの導入。元消防職員の立場で考えてみた。【活用法】

写真引用、関連記事:東京新聞

焼津市でのドローンの取り組みが参考になる

焼津市では、Inspire2(インスパイア2)を救助用ドローンにカスタムして、実践導入しております。

消防の現場でドローンは活用できるのか?

このように全国の消防現場でもドローンが普及し始めております。

実は私は恥ずかしながら元消防職員で、大学卒業から約7年間地元愛知県の消防で勤務しておりました。

なので元消防士目線でドローンと消防についてお話ししてみたいと思います。

あくまでドローンは数多くある消防・救助の資機材のひとつとして使われることになると思います。

phantomクラスであれば、消防の救助資機材などは比較してずっと安価なので、予算的には購入しやすいレベルだと思います。

現場は大きく分けて4つの隊に分かれる。

  • 消防隊員:火災現場において消火活動を行う隊、救急の現場では救急隊員の補助に回ることもあります。
  • 救急隊員:負傷した傷病者に対して適切な処置をして病院まで搬送する隊
  • 救助隊員:交通事故や火災などで逃げ遅れがあった場合、人命救助を優先に活動する隊
  • 指揮調査隊:災害の規模に応じて、たくさんの隊を統制するために「指揮調査隊」が必要になってきます。

現場隊員は、大きく分けて4つに分かれます。

ではドローンはどの隊で使用されることになるのか?

これは救助隊員指揮調査隊になるかと思います。

全国の消防現場に増えつつあるドローンの導入。元消防職員の立場で考えてみた。【活用法】

救助隊の場合は従来の「はしご車」と比較してずっと迅速に早く活動に取り掛かることができるため。

高層階での火災の場合はどの階のどの部屋に要救助者がいるのかなど把握はずっと容易になるかと思います。

要救助者は、煙から逃げるためベランダへ出る傾向があります。

ただし、ドローンが煙などに巻かれてしまうと、熱風などでプロペラが変形し、墜落の危険もあるので、迂闊に火災現場に近づけることは困難かと思います。(phantomクラスの商業用ではちょっと心もとないと思いますね。)

また「指揮調査隊」も隊としてひとつくらいはドローンがあってもいいのかなと思います。

これまで現場を経験している立場としてあまり使用イメージは浮かびませんが・・・

いくら全体の動きを把握したいからといって、住宅街でドローンを飛ばすことがちょっとハードルが高過ぎる気がします。

現場活動とドローンのリスク

ただし、消防の現場においてドローンを活用することに対して

正直、通常の火災現場や交通事故などの救助現場では使用できるとは思えないです。

火災現場は隊員の往来が激しく、また隊員一人一人に指揮命令を行き届かせるのはかなり困難です。

そんな中、ドローン隊があったとして、ドローンを飛ばすことは隊員との接触など危険があります。

上空とはいえ、現場の災害に対して集中している隊員に対してドローンは邪魔になりかねない気がします。

やはり地震など大規模災害時に、ドローンで調査することが有力

結局行き着くところは大規模災害時での、人が容易に足を踏み入れないような現場にて使用するイメージが一番強いですね。

大地震はかなり特殊な現場になり、情報が錯綜、把握しきれなくなりますのでドローンをうまく活用することで効率よく検索活動や情報共有を行うことができるようになるかもしれません。

また山火事などの場合でも使えるかもしれませんが、先に説明した「煙」と「熱風」に対してどれだけ安全に飛行できるか未知数な部分が多いのでちょっと厳しいかもですね。

奈良県の災害用ドローン専門のNPO法人×行政のタッグ

奈良県には元消防・元警察・弁護士・医師などが作ったNPO「安全安心スカイヘリサポート隊・龍虎」という団体があるそうです。

広島での土砂災害を契機に被害を把握するために、お金を出し合ってドローンを10台ほど購入したとのこと。

現在はNPO法人にしたそうです。

奈良県で全国で異例の行政とNPO法人が協定を結び、災害発生時は「奈良県橿原市」の要請でドローンを飛ばして撮影した映像を市に提供するシステムらしいです。

お堅い行政がNPO法人と協定を結ぶのはちょっと考えられない気がしましたが、NPO職員が元各行政のお偉いさんっぽいのでなんかコネがあったんでしょう。

大津市消防本部でのドローン活用

まとめ

ドローンを消防の現場に活用し始める動きは全国でちらほら始まりつつありますね。

個人的には行政や各種団体の垣根を越えてうまく活用できればと思っています。

消防庁でもドローンを購入予定だそうで、今後どのように活用されていくかが楽しみですね。

ABOUT ME
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吉武 穂高
GADGET WALKER 編集長 1984年生まれ。愛知県出身。静岡大学工学部卒業。 地元愛知県で消防職員として勤務し、30歳で起業。 ドローン操縦士・カメラマン・ブロガー・YouTuberなど 幅広い分野で活躍中。
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